会話が苦手な人のためのコミュニケーションの技術(基礎技術編)。 | 「ひと」と「ひと」の間を考える。『rooftop』〜コミュニケーションとコミュニティ〜

2016/05/11

会話が苦手な人のためのコミュニケーションの技術(基礎技術編)。

[知識]

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序章:100%うまくいくコミュニケーションの技術は存在しない。

会話が続かないとか、何を話して良いのかわからないといった、会話やコミュニケーションに関する悩みをもっている人は少なくないように感じます。

実際に、16歳以上を対象とする「国語に関する世論調査」の結果から、日本人の日本語能力が低下していると思う人が約60%〜90%(書く力:88.1%、読む力:68.8%、話す力:59.2%、聞く力:57.0%)に達しています(文化庁HP「平成13年度国語に関する世論調査の結果について」より)。

多くの人が会話やコミュニケーションがうまくなりたいと感じており、会話術に関する書籍や講座も溢れていますが、100%うまくいくコミュニケーションの技術は存在しないと、僕は考えています。

ある相手に対してうまくいったやり方を別の人に試したら全くうまくいかなかった、ということもよくあると思います。

コミュニケーションは、自分と相手との個別の関係性の上に成り立つものだからです。

関係性は、例えば年齢や立場によっても異なるでしょうし、それらをどの程度大切と考えているかによっても異なります。また、時間が経つと関係性は変化することもあるので、同じ相手でも一定の関係性ということは少ないものです。

そして、自分と相手との関係性が変われば、コミュニケーションの方法も変える必要があります。

とはいえ、個別の関係性を大切にしながらも、様々な普遍的なコミュニケーションの技術を知り選択的に活用することで、会話をうまく進めることができたり、関係性を発展させたりすることができます。

また、会話が苦手と感じる人にとっては、コミュニケーションの技術がお守りのような安心材料になるかもしれません。

ここでは、コミュニケーションの技術の初級編として、職場でもプライベートでも簡単に実践できる基礎技術を紹介しています。

会話は実践が大切だと思いますので、できそうな部分から試していき、自分なりのコミュニケーションをつくりあげて頂けると幸いです。

[目次]

序章:100%うまくいくコミュニケーションの技術は存在しない。

第1章:すぐに実践できるコミュニケーション技術。

第2章:会話を広げるコミュニケーション技術。

第3章:さらに会話を広げるコミュニケーション技術。

終章:「会話が苦手」は武器にもなる!?

第1章:すぐに実践できるコミュニケーション技術。

コミュニケーションは言葉だけではなく、表情や身振り、口調や言葉遣いも加わって成り立っています。

ここでは、身体全体をつかった簡単なコミュニケーションの技術について記載します。

すぐに実践できる内容ですが、第2章以降で紹介するコミュニケーション技術の土台にもなり、会話や人間関係を発展させる大切な要素でもあるので、参考にしてもらえると嬉しいです。

1-1:相手の目を見る。

目を見るのは苦手という人は多いと思います。

でも、目をそらしてばかりいると、相手が「興味ないのかな」と感じてしまったり、「つまらないのかな」と不安になったりする場合もあるので、適度なアイコンタクトは大切です。

目を見ることで、「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」というメッセージを送るわけです。

ちゃんと聴いてくれているとわかれば安心できるし、もっと色々なことを話したくなるもので、会話は自然と発展していきます。

ただし、相手の目をあまり凝視し過ぎると圧迫感を与えることもあるので、2〜3秒くらいがちょうど良いと思います。

また、どうしても目を見られないときは、相手の眉間あたりを見ると良いでしょう。相手には、ちゃんと目を見てくれていると感じてもらえます。

1-2:うなずく。

うなずくという動作も、「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」というメッセージになります。

また、うなずきには相手の話に同意するという意味もありますが、さらに、相手の存在自体を肯定するという意味や、「私はあなたの敵ではないですよ」という意味も含まれています。

そのため、うなずくことによって、相手の自分に対する信頼感も生まれ、会話が発展するだけでなく、関係性も発展させることができます。

話しの流れに合わせ、意識的に少しゆったりとうなずくのが良いと思います。

話を聴くときの姿勢も大切で、少し前傾姿勢の方が真剣さが伝わる場合もあります。また、腕組みをすることは、拒絶ととられる可能性があるので避けたほうが無難です。

1-3:相槌を打つ。

相槌には、「そうですか」、「はい」、「ああ、なるほど」など、色々なバリエーションがあります。

多用し過ぎると機械的になってしまいますが、適度に会話に取り入れることで、会話の潤滑油のような働きをしてくれます。

当然、相手の全ての意見に同意する必要はありません。

でも、自分の意見と違うからといってすぐに否定するのではなく、「あなたはそう考えているんだね」という感じで判断を保留し、相手の価値観も自分の価値観も大切にすることが重要だと思います。

1-4:やさしい表情をする。

言葉や動作と同様に、表情も重要なメッセージとして相手に伝わります。

仏頂面をすると相手が話しづらいだけでなく、「話がつまらないのかな」とか、「もしかしたら嫌われているかも」などと相手に思われてしまうこともあります。

いつもニコニコと笑う必要はありませんが、やさしい表情を心がけることで、相手に「あなたを受け入れますよ」というメッセージが伝わります。

受け入れられているとわかれば、「もう少し自分のことを打ち明けても大丈夫かも」という安心感も生まれるので、会話が発展したり、相手との距離が縮まったりします。

また、相手を受け入れることで、自分も受け入れてもらえることが少なくありません。

第2章:会話を広げるコミュニケーション技術。

ここでは、会話を広げたり、会話を続けたりするためのコミュニケーション技術を記載します。

第1章の内容と組み合わせて実践することでより効果があると思います。

また、先に書いたように、コミュニケーションは相手との関係性の上で成り立つものなので、技術ばかりにとらわれて機械的になり過ぎず、自分なりの意義を考えて活用して頂けると嬉しいです。

2-1:簡単受容。

簡単受容とは、第1章で記載したうなずきや相槌のことです。また、相手の発言の中の1語か2語を繰り返すことも簡単受容の一つです。

これによって、相手の話の流れを遮らず、注意深く話を聴いている態度を示すことができます。

例えば、「毎日2時間は勉強することにしています」という発言に対して、「毎日!?」とか、「2時間も!?」とか、相手の発言の一部を繰り返すイメージです。

このとき、どこに着目して繰り返すかで会話の流れは変わります。

「毎日!?」と繰り返せば、「継続することが大切だと思うんだよね」と相手の価値観が聴けるかもしれませんし、「2時間も!?」と繰り返せば、「その分最近は睡眠不足で…」と相手の悩みがわかるかもしれません。

また、誰しも言葉を意識的・無意識的に選択して発言しているので、例えば会話の中で何度も繰り返されるような言葉は、特に大切に受け止めると効果的です。

そして、再び相手の発言が返ってきたら、さらにその発言に応答することで、会話は発展していきます。

2-2:事柄への応答。

事柄への応答とは、相手が話した事実や出来事などの事柄について、キーワードを捉えて伝え返すことです。

伝え返すことで、相手は「ちゃんと伝わってるんだ」と安心することもできますし、話の内容を相互に確認して次に進むこともできます。

例えば、「いつもは2時間勉強するんだけど昨日は疲れて1時間しかできなかった」という発言に対して、「昨日は疲れてたんだね」とか、「1時間しかできなかったんだね」とか、事柄の一部を伝え返すイメージです。

前項と同様に、どこに着目して伝え返すかで会話の流れは変わります。

あまり長く伝え返すと会話の流れを遮ってしまうので、短く伝え返すのが良いと思います。

また、例えば、「僕は疲れていても勉強するよ」とか、「継続しないと意味ないよね」とか、自分の価値観ですぐに批判したり否定したりせず、自分の考えは一旦脇に置き、相手の話を聴いてみるという姿勢が大切です。

2-3:感情への応答。

感情への応答とは、相手が話した気持ちを捉えて伝え返すことです。

これによって、共感しながら話を聴いていることが相手に伝わります。

例えば、「もうすぐ試験だから不安だ」という発言に対して、「不安なんだね」と、気持ちの部分を捉えて伝え返すイメージです。

事柄を話すことに比べ、気持ちを話すことは勇気がいることで、「批判されたらどうしよう」とか、「うまく伝えられるかな」といった不安を抱えていることが少なくありません。

感情へ応答することで共感的な理解を伝え、相手に安心してもらうことで、そのときの会話が広がるだけでなく、「また話したい」と思ってもらえるかもしれません。

ただし、感情は明確に表現するのが難しい場合もあるので、深読みし過ぎたり、決めつけたりせず、相手が見ている世界を一緒に見ようとすることが大切です。

第3章:さらに会話を広げるコミュニケーション技術。

ここでは、さらに会話を広げるためのコミュニケーション技術について記載します。

実はここまで、「聴く」ことを中心に書いています。

会話が苦手という人は、うまく話せないと感じることが多いのではないかと思いますが、ここまで記載したような「聴く」技術から実践してみることで、自然と「話す」こともできるようになると思います。

相手の発言に相槌を打ったり、応答したりすることは、「話す」ことの一部だからです。

そのため、ここまで実践できれば十分会話が成り立つと思います。

さらに第3章の内容も組み合わせて、色々なバリエーションの会話を楽しんでもらえると嬉しいです。

3-1:相手の話を要約する。

相手の話は冗長だったり、気付かないうちに方向性が変わっていったりするので、話に付いていくのが困難な場合もあります。

要約とは、相手の話の主旨をまとめて伝え返すことで、それまでの内容をお互いに確認したり、ちゃんと話を理解していることを相手に伝えることができます。

話が長くなると、相手も伝わっているかどうか不安になるものなので、適度に要約することで、相手に安心して話してもらうことができます。

また、悩みなどの場合は、考えや気持ちの整理ができたり、課題を客観的に見つめることができたりもします。

要約のタイミングとしては、話が一段落したときや、話がわかりにくく拡散し過ぎているときが良いと思います。

また、事柄だけでなく、相手の気持ちについても受け止めて要約をすることで、さらに信頼感が生まれ、お互いの関係性も発展していきます。

3-2:とりとめのない会話を楽しむ。

前項とは逆に、要約したりせず、気の向くままに、とりとめのない会話を楽しむのも良いと思います。

そもそも、会話はこうあるべき、といったルールはありません。

会話には軸があるべきだ、と考える人もいるかもしれませんが、それはその人個人の価値観であり絶対的なルールではありません。

とりとめのない会話の方が、自由で楽しいと感じたり、思いがけないアイデアが生まれることもあって良いと考える人もいるわけです。

会話には軸があるべきだと考える人と話すときには、それを大切にする人だと理解して対応すれば良いだけで、やはりコミュニケーションは相手との関係性の上に成り立つということです。

一つの技術や考え方にとらわれ過ぎず、しなやかなコミュニケーションを目指すのが良いと、僕は考えています。

3-3:相手に質問する。

質問することは、相手の話に強い興味をもっていることを示し、より深い気持ちや情報を聴けて、話が広がっていきます。

ただし、答えを求めるという意味では拘束力のある行動であるため、尋問的にならず、教えてもらうという態度が大切です。

質問の方法としては、閉ざされた質問と開かれた質問の2種類があります。

閉ざされた質問は、「はい」や「いいえ」など1語か2語程度で簡単に答えられる質問で、明確な答えが得られます。

例えば、「…を持っていますか?」とか、「この意見には賛成ですか?」という質問です。

開かれた質問は、相手に自由に語ってもらう質問です。

例えば、「今どんな気持ちですか?」とか、「もう少し具体的に教えてもらえますか?」という質問です。

閉ざされた質問ばかりだと会話が発展しにくいですが、開かれた質問も自由度が高過ぎて漠然としていると、相手も答えにくくなってしまいます。

ある程度、質問の範囲を狭めて、「…について、具体的に教えてもらえますか?」などと工夫することが重要です。

そして、相手が答えてくれたら、それを受け止めることが大切です。

終章:「会話が苦手」は武器にもなる!?

ここまで、コミュニケーションの技術の初級編として、簡単に実践できる基礎技術を紹介してきました。

初めは少しぎこちなくなるかもしれませんが、実践の場面で試していくことで、少しずつ自分のものになっていくと思います。

会話が続くようになったり、色々な方向に発展したり、いつの間にか会話の苦手意識もなくなるかもしれません。

でも、さらに考えてみると、会話が苦手ということもコミュニケーションの武器になりそうです。

あまりにも会話がうまい人には、話しかけにくいと感じることもあるからです。

会話が苦手だからこそ成り立つコミュニケーションもあるわけです。

効率的で発展的な会話が求められる場面が多いのは事実ですが、それが全てではありません。

効率的で発展的な会話はコミュニケーションの一部であり、抽象的な会話を求めていたり、まとまらない話を理解するのが得意な人もいます。

やはり、100%うまくいくコミュニケーションの技術は存在しないし、自分と相手との関係性の上に、コミュニケーションは成り立つのです。

自分の苦手な部分は目についてしまいますが、苦手な部分を違う視点からも捉えながら、コミュニケーションについて考え、技術を活用して頂けると幸いです。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます☆

関係性が先にある。

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相手との関係性や場面に応じて選択することは必要ですが、会話をうまく進める上でとても参考になります。

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