2016/05/25
アサーションスキルとは。相手を傷つけずに自分の言いたいことを伝える方法。
[知識]

コミュニケーションの中で、相手とは違う意見や気持ちを伝えたいときは、少なからずあると思います。
でも、特に負の感情や反対意見を伝えようとするときは、「意見を言うことで相手を傷つけてしまったらどうしよう…」とか、「ケンカになったら嫌だな…」とか、色々な不安を感じることも多いと思います。
僕も臆病な人間なので、結局言わずに我慢してしまうこともありますが、自分の気持ちを無視することになるため、不満が残ったり、ストレスがたまったりしてしまいます。
でも、相手の気持ちや意見を尊重しながら、自分の言いたいことを率直に表現できれば、自分も相手も傷つかずに、コミュニケーションを発展させることができます。
そういった自己主張のスキルをアサーションといいます。
大切なのは、相手も自分も尊重しながら主張するということです。
つまり、言いたいことを我慢するのでもなく、相手に自分の意見を押し付けるのでもなく、対等な立場として主張するということです。
ここでは、アサーションを成功させるために有効な考え方や方法をいくつか書いてみようと思います。
相手と自分との良好な関係を継続的につくっていきたいという想いを前提として、参考にして頂けると嬉しいです。
目次
第1章:アサーションのその前に。
1-1:問題は客観的には存在しない!?
問題は客観的には存在しない、と僕は考えています。
相手の考え方や行動などについて、問題であるとか間違っていると感じるのは、自分の主観であるということです。
相手に対して、「常識的に考えて問題だ」とか、「統計データ的に間違っている」とか、「理論的に筋が通っていない」などと感じたとしても、それは「常識」や「統計データ」や「理論的な説明」を大切にしている自分の主観から問題だと感じているわけです。
相手に対して問題だと感じることが悪いわけではありません。
でも、自分が大切にしているものがあるのと同様に、相手にも大切にしているものがあります。
相手を単純に否定するのではなく、相手の考え方も自分の考え方もある、という立場がアサーションの前提であると、僕は考えています。
1-2:主張する価値があるか自問してみる。
自分の意見を主張することにより、相手は脅威や攻撃と感じる場合があるので、主張する前に、本当に主張する価値があるのか、主張したら相手が態度や行動を変えてくれる可能性があるのか、一度立ち止まって自問してみるのが大切だと思います。
自問した結果、主張すると決めたとしても、一度立ち止まることで冷静になれて、新たに見えてくる部分もあるかもしれません。
1-3:傷つけないことは先に考えない。
ブログのタイトルとは矛盾するようですが、相手を傷つけないとか怒らせないなどと、先に考えないことが大切だと思います。
アサーションに限らず、全ての行動は相手を傷つける可能性があります。
自分が優しさと思った行動でも相手を傷つける可能性はあるし、行動しないという行動も同様です。
大げさかもしれませんが、ある程度、自分の選択に対する覚悟が必要といえそうです。
第2章:アサーションの具体的な方法。
2-1:タイミングに注意する。
ここからは、アサーションの具体的な方法について記載していきます。
まずは、主張するタイミングについて考えることが大切です。
主張するタイミングが悪いと、意見を受け取る余裕が相手になかったり、相手が自分の主張に対して脅威や怒りを感じる場合もあるので、相手の置かれている状況を考慮することが大切です。
同様に、自分にとっても良いタイミングというのがあると思います。
あまりにも自分の怒りが爆発しているときは、少し時間を置いた方が冷静に効果的な話ができるかもしれません。
2-2:「私メッセージ」を使う。
「私」を主語にして表現する「私メッセージ」を使うと、自分の考えや感情を表現する提案型のメッセージになり、押し付けがましさが少なくなります。
逆に、あなたを主語とする「あなたメッセージ」を使うと、相手を断定するようなメッセージになりがちで、否定的なニュアンスで受け取られる可能性もあります。
自分のことを振り返ってみても、押し付けがましい意見を言われると、論理的に正しくても受け入れたくないという気持ちが生まれることが多いかもしれません。
2-3:肯定的に表現する。
同じ内容でも、否定的にではなく肯定的に表現することで、相手の不快感を少なくすることができます。
例えば、「そんな仕事ぶりではダメだ」と否定的に伝えるのではなく、「こんな感じで仕事をしてくれたら私は嬉しい」と肯定的に伝えるイメージです。
「私メッセージ」も加えることでさらに効果的になります。
2-4:具体的に表現する。
具体的に表現しなければ、自分の意図が正確に伝わらないこともあります。
例えば、「この部屋は何とかならないか」と曖昧に伝えるのではなく、「要らないものを捨てれば、この部屋はもっと使いやすくなると思うよ」と具体的に伝えるイメージです。
曖昧に表現すると、不快な感情だけが伝わってしまうこともありそうです。
2-5:依頼の言葉の基本型「感謝+理由+依頼内容+肯定的効果」。
誰かに何かを頼むのは苦手という人は多いと思います。
結局、自分でやってしまうことも多いかもしれませんが、どうしても頼む必要があることもあります。
そんなときは、依頼内容だけを伝えるのではなく、
(1)自分がどのように感じているか
(2)依頼をしなければならない理由
(3)どうしてほしいのかという依頼内容
(4)そうしてもらうことによって自分にとってどのようなことが起こるのか
を伝えると依頼がスムーズな場合があります。
例えば、
(1)いつも作業を手伝って頂きありがとうございます。(感謝)
(2)実はお客様の都合により緊急で対応しなければならない案件がありまして、(理由)
(3)作業を分担して頂きたいのです。(依頼内容)
(4)お願いできるととても助かります。(肯定的効果)
というような感じです。
2-6:断りの言葉の基本型「謝罪+理由+断り表明+代替案」。
「理由がなくても(わからなくても)断って良い」というのが、僕自身が断りを受ける側のときの基本スタンスです。
でも、実際に断る場面では、特に相手を傷つける不安が大きいかもしれません。
断りを伝えるときは、いきなり断るのではなく、
(1)依頼や誘いを断ることの謝罪や感謝
(2)断らなければならない理由
(3)明確な断りの表明
(4)代替案の提示
という順番で表現すると伝わりやすいかも知れません。
例えば、
(1)お誘い頂きありがとうございます。(感謝)
(2)実は、別件の予定が入っていて、(理由)
(3)残念ですが欠席させて頂きます。(断り表明)
(4)また次回、予定が合う日に参加させて頂きます。(代替案)
というような感じです。
代替案は曖昧な表現でも問題ありません。
2-7:非言語表現を使う。
非言語表現とは、動作や声のトーンなど、言葉以外による表現のことです。
姿勢、身振り、表情、相手との距離、話す速度、声の大きさ、間の取り方など、非言語表現を使って、言葉による表現を補強することで、より想いが伝わることもあります。
2-8:聴くことを意識する。
自分の主張に対する相手の反応に対して耳を傾け、相手が自分の主張をどのように受け止めているのか、確認することも大切です。
コミュニケーションは継続していくものだと思うので、相手の反応を受け止めた上で次の話をしてみるのが良いと思います。
また、相手の話を聴いてから自分の意見を言う、という順序も有効な場合があります。
相手がボールを両手いっぱいに持っていたら、こちらのボールを受ける気はおきません。
一旦、相手のボールを受け取って、自分も持ち切れなければひとまず横に置いておくことも有効だと思います。
まとめ。
アサーションについて記載しましたが、アサーションは目的ではなく、相手と自分にとって良好な関係をつくるための手段です。
また、アサーションは主に「伝える」という行動ですが、その中には「聴く」という行動も含まれています。
「伝える」ことばかりではなく、「聴く」ということも考え、コミュニケーションを発展させていけると良いと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます☆
「伝える」と「聴く」は似ている。
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